心霊学研究所
『シルバー・バーチの霊訓(5)』を読む

一章 シルバーバーチとは何者か


 

「私は荒野に呼ばわる声です。神の使徒以外の何者でもありません。私が誰であるかということが一体何の意味があるのでしょう。私がどの程度の霊であるかは私のやっていることで判断していただきたい。私の言葉が、私の誠意が、私の判断が、要するにあなた方人間世界における私の仕事が 暗闇に迷える人々の心の灯となり慰めとなったら、それだけで私はしあわせなのです。」(P.14)

 

 一章は「シルバーバーチとは何者か」というテーマでまとめられていますが、 結局、上のシルバーバーチ本人の言葉に尽きるのかもしれません。
 シルバーバーチと言うと、インディアンの姿の肖像画が有名です。しかし、実はシルバーバーチの正体はインディアンではありません。あの肖像画に描かれた霊は、霊媒(モーリス・バーバネル)とシルバーバーチの間をつなぐ、霊界側の霊媒なのです。シルバーバーチの本体(?)のバイブレーションがあまりにも高すぎて、直接現世とコンタクトできないために、霊界側でも霊媒を使って中継しなければいけないのだそうです。
 その交霊の方法は非常に難しいもので、霊媒が生まれる前から計画が立てられ、周到に準備を進め、練習を重ねてい たにもかかわらず、はじめの頃の交霊会では普通に話すこともおぼつかなかったようです。

 

 シルバーバーチは本当は何者なのか? 分からないとなると知りたくなるのが人情というもの(^^;。事実、翻訳されている霊言集の中でも、サークルのメンバー から何度も質問されています。しかし、初めての出現から霊媒の死までの60年間、 とうとう一度も自分の地上時代の名前をあかしませんでした。
 「名前ぐらい言えばいいじゃないか。」....そう思う人もいるかもしれません。 しかし、本名をあかさないということにも、実は重要な意味があるのです。

 少しだけ考えてみて下さい。もしもシルバーバーチの正体が....
……歴史上の著名人だったとしたら、その言葉に箔が付くのでしょうか?
……無名の人物だとしたら、その言葉のありがたみは減じるのでしょうか?

 歴史上の人物の名前を騙る霊言集が、ちまたに氾濫しています。が、本当に進化した霊であれば、霊的な学びの段階でいえばせいぜい幼稚園レベルのこの世での名前など、名乗る気にもならない(と言うより、恥ずかしくて名乗れない?)というのが本当の所でしょう(←近藤千雄さんの本からのウケウリ。(^_^;ゞ)
 それに、「あの有名な○○の霊が仰せられたことだから....」などという幼稚 な権威主義は、真理とはもっとも遠いものだと思います。
 ですから、地上時代の名前を名乗る霊は、まだまだこの世の人間のレベルに留まっている程度の存在だということなのです。

 

「私は一介の神の僕(しもべ)に過ぎません。今まさに黎明を迎えんとしている新しい世界の一役を担うものとして、これまで忘れ去られてきた霊的法則を蘇らせるために私を地上へ遣わした一団の【通訳】にすぎません。私のことをいつもマウスピース(代弁者)としてお考えください。地上に根づこうとしている霊力、刻一刻と力を増しつつある霊の声を代弁しているにすぎません。」(P.14)

 シルバーバーチの特徴の一つに「謙虚さ」が有ります。自分への称讃は、決して受けようとはしません。自分への感謝の言葉にも必ず、感謝は自分にではなく大霊(神のこと)にするように求めます。
 シルバーバーチへの感謝が、いつしか崇拝に変わり、メッセージが二の次になってしまう恐れがあるというのです。

 

----でも私たちにとって、あなたは単なる代弁者の声ではなく実在の人物 です。

「私は別に私には個性がないと言っているわけではありません。私にもちゃんと個性はあります。ただ、こちらの世界では“協調”ということが大原則なのです。一つの大きなプランがあり、それに従って共通の利益のために各自が持てるものを貢献し合うということです。身分の高いも低いもありません。あるのはそれまでに各自が積み上げてきた霊的成就の差だけです。開発した霊的資質と能力を自分より恵まれない人のために惜しみなく活用し、代わってその人達も自分より恵まれない人のために持てるものを提供する。かくして地上の最低界から天界の最高界に至るまで連綿として強力な霊的影響力の輪がつながっているのです。」(P.15)

 つまりそれが、シルバーバーチの良く言う「他人のために自らを役立てる。」ということなのでしょう。しかし、そのような「強力な霊的影響力の輪」をつなげるもの。人間のために貢献したいという、シルバーバーチの強烈な想いは、どこから出ているのでしょうか。

「私たち霊団の者は功績も礼も感謝もいっさい求めません。お役に立ちさえすれば良いのです。争いに代わって平和を見ることができれば、涙にぬれた顔に代わって幸せな笑顔を見ることができれば、病と痛みに苦しむ身体に代わって健康な身体を見ることができれば、悲劇を無くすことができれば、意気消沈した魂に巣くう絶望感を拭い去ってあげることができれば、それだけで私たちは託された使命が達成されつつあることを知って喜びを覚えるのです。
 願わくは神の祝福のあらん事を。願わくは神の御光があなた方の行く手を照らし給い、神の愛があなた方の心を満たし給い、その力を得て代ってあなた方がこれまで以上に同胞のために貢献されんことを切に祈ります。」(P.18)

 人間としてかくありたいものですが、私たちは果たしてシルバーバーチの祈りに答えることができているのでしょうか……。

 

 さて。一章の概略を紹介しました。もちろん、こんな不十分な紹介ではシルバーバーチの本当の魅力は分かりません(^^)。ここで紹介した以外にも感動的な言葉はたくさんありますから、是非とも出版されている書籍を手に入れられて、読んでみてくださいね。

(初出 12/08/94 Nifty-Serve FARION mes(13) )


目次2章「死は第二の誕生」に進む

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