心霊学研究所
類魂とは何か

類魂とは何か----生まれ変わりの謎を解く

その4


今回もまた、ジェラルディーン・カミンズによる、フレデリック・マイヤースの霊界通信から、ご紹介いたいます。前回予告したとおり『個人的存在の彼方』を見てみることにしましょう。

で、ずいぶん久しぶりに、ザッと斜め読みしてみたのですが、やはりこれは、前回紹介した『永遠の大道』を補う内容になっているようです。
『永遠の大道』は、人間が産まれてから遥か高級霊界に進んでいく迄の霊的な進化の路程を書いたものですが、『個人的存在の彼方』では、その中で論じきれなかった部分----例えばカルマについてなど----の事が具体的に書かれていて興味深い内容になっています。勿論それらの根本の部分で、類魂説が関連しています。今回はカルマ論などにはあまり深く触れずに、類魂説に的を絞って紹介したいと思います。


翻訳は、僕が知る限り

『人間個性を超えて----個人的存在の彼方』国書刊行会 梅原伸太郎訳 3800円
『永遠の大道 (付.個人的存在の彼方)』 潮文社   浅野和三郎  1500円

の二種類です。
ただし、梅原訳は絶版(未確認です)。浅野訳は、部分訳です。浅野訳の方は、前回紹介したのと同じ本です。
ここでは、梅原氏の『人間個性を超えて』からの引用を中心に解説していくことにします。


 物質界での生活中人間の想像力は、五感によって養われるとともに大自我たる類魂に啓発されている。個人はこの類魂の枝であり芽なのである。彼はときおり本霊、つまり私が以前「上方からの光」と定義したものによって照らされ導かれているのである。
 この世の物語に記されるわれわれの生涯は、短編小説ではなく、各章が死によって閉じる続き物の長編小説であることを忘れてはならない。新しい章は前の章を受けて発展していくものであり、(略)
 先行する各章次第で、現在経験する人生の章に明るい彩りや暖かさの添えられることもあれば、不吉で暗い色調の影が射して思いもかけぬ不運に巻き込まれ、悲惨な境遇に陥ったりもする。また彼の肉体器官はと言えば、遺伝的影響とは別の、今は大自我の中に埋んでしまって触知しえない過去の記憶が創り上げたものなのである。(P.31)

憶えてもいない前世の為に「不運に巻き込まれ」るなんてまっぴらだと思うかも知れませんが、そのような、前世からのカルマが呼び寄せた不運が、魂の発達に役立つものなのです。ですから高級霊界でも、人間の進化に役立つ限りにおいて、そのような不幸や悲しみも、ワザと見過ごす事もあるのだそうです。


類魂と一言で言っても、その中にも小さな集団がありますし、その上にはもっと大きな集団もあります。例えて言えば、太陽系の中でも惑星が衛星を従えているという事や、その太陽系も銀河系の中に含まれている、というのと同じです。更につけ加えれば、その銀河系も銀河団の中に含まれているのですが。

 類魂のなかには「心霊原子集団」psychic atoms というべき----もっとよい言葉があればいいのだが----ものが存在する。これらはおそらく四ないし五の魂から成っているが、その数は必ずしも一定しない。ともかくこれらは類魂中の小集団なのであり(略)進化の初期の段階において、他の魂とは結ばない特別に親密な生活を共にするのである。(P.58)

念のため補足すると「進化の初期の段階」というのは、もちろん人間としての霊的な進化のことで、その未熟な間はと言うことです。
巷でよく言われる「ソウルメイト」も、この類魂のなかの小集団の一種と考えて良いでしょう。スピリチュアリズムでは「アフィニティaffinities 」ともいいます。これらには、非常に良い面があるのは確かなのですが、一歩間違うとおかしな方向に行ってしまうこともあるようです。

 二人の人間が霊的に甚だしく似かよっているために、両者がお互いに他を補い合っているといわれるケースが稀にある。つまり、お互いに他方の必要とする基本特質や共感を分かち合っているのである。このような例外的なケースにおいては、ふたつの魂が一つの全体の両半であると言っても良かろう。(略)
 同魂の片割れ同士は高次の霊界で合一し、一つの心霊的合一体となる。しばしばこうした合一体は素晴らしい霊的開花を遂げ、一体となって類魂に非常な貢献をする。しかし、他方ではこの心霊的合一体はある環境の下では、二人が余り熱烈に愛し合って他を顧みないために、類魂から孤立してしまうことがある。この孤立化は、暫くのあいだ彼らの進歩を遅らせることになる。(P.101)


 以上は、類魂の中に含まれる小集団の事でした。では、類魂をも内包してしまうという大集団についても見てみましょう。
類魂を含むより大きな集団のことを、マイヤースは「心霊族」と呼んでいます。マイヤースは、この「心霊族」のことも広義の類魂であると捉えているようで、何の断りもなくこれの事を類魂と呼んだりしています。次の部分も「類魂」と書いてありますが、心霊族の説明です。

類魂の本霊は、生命と心の光によってそれの所属する植物、樹木、花、昆虫、魚、獣、人間など、進化の様々な状態にある生物を養っている。そしてまた死後の世界の様々な意識の段階にある魂にも命を注ぎ込んでいる。同時にまた、他の天体の生物さえ養っているのである。というのも本霊はあらゆる形態における経験を収穫物として集める必要があるからである。(『不滅への道---永遠の大道』梅原伸太郎訳 P.91)

ようやく類魂の存在に気づくのが、この世での生まれ変わりから卒業した魂ですから、心霊族を意識する魂というのは、既に「人間」などとは呼べないぐらい進化した存在なのでしょう。もちろん通信霊であるマイヤース自身も、直接体験して知っているわけではありませんが、心霊族への参入によって“巨大な星間機構に対するわれわれの関係を感じとり、認識”し、宇宙の“永遠の時 を遡る記憶”を知るのだそうです。
(“”内は『人間個性を超えて』P.126からの引用)

またまた長くなってしまいましたので、今日の所はここ迄にしておきましょう。
では、また。

(初出 8/23/94 Nifty-Serve FARION mes13『神秘学遊戯団』#1685)


その1その2その3|その4|その5

心霊学研究所トップページ