心霊学研究所
スピリチュアリズムQ&A

スピリチュアリズムQ&A(3)


ハイズビル事件のところで出てきたケイトとマーガレットの2人ですが、インチキを自白したという話も聞きました。心霊学研究所推薦図書と言われている、と学会の『トンデモ超常現象99の真相』などを読むと、ラップ音は足の関節を鳴らした音だと書いてあります。偽霊媒ではないんでしょうか?


その本で紹介されている実験の信憑性(実験条件の妥当性)に疑問があります。別の実験では、霊媒能力は真正のものであるという報告も出ているのです。

 「普通の人は正誤表の中に誤りがあるなんて思ってもみませんからね」とは『と学会』の志水一夫氏の名言ですが、「その真相は実はこうなんだ!」と言われて、実はそちらも間違っているかも知れないとは、よほどのひねくれ者しか思わないでしょう。しかし、それが本当に『真相』なのか、検討してみるべきではないでしょうか?

 確かに足の関節を鳴らしていたのだという説は根強くあります。その本では以下のように書かれていますね。

一八五一年二月には、ブッファロー大学の三人組の医師が姉妹を調査し、たぶん膝の関節を鳴らしているのだろうと結論した。そのことを証明するため、医師らはマーガレットとケイトを長椅子に坐らせて足を伸ばさせ、クッションの上に足を置いた状態で霊を呼び出すように要請した。五十分待ったが霊は現れることがなかった。
(『トンデモ超常現象99の真相』と学会著 洋泉社刊 P.235)

 なるほどそういうこともあったのでしょう。霊媒現象がいつでも自由自在に起こせるはずがありませんから。
 しかしこれは、実験の条件に疑問があります。果たして霊的な現象が起き易い環境・雰囲気が配慮されていたのでしょうか? 霊媒現象といっても人間のやることですから、実力が出せる環境を整えなければ起きる現象も起きなくなるのは当然のことです。
 また反証として、次に紹介するような事実もあります。

委員会は続けて三つも組織され、それぞれの調査が行われた。三番目に出来た委員会は前の二つの委員会をまぬけの集まりか、さもなくば犯罪の黙認者であると非難するほどの強硬論者から構成されていたが、徹底した調査の末にやはり原因は不明であるとの結論を出した。フォックス姉妹は複数の女性によって身体検査され、〃枕の上に素足で立たされ、関節部分はすべて衣服の上から紐で縛られた〃にもかかわらず、壁と床から叩音が聞かれた。この強硬派ぞろいの委員会の出した報告書にはこうある。
 「委員全員が叩音を聞いたが、その出所はついに突き止めることができなかった。現象に際して器具も詐術も使用されていないことが証明された。委員から出された質問−−その多くが知的な内容のものであったが−−に対しても正確な返答が返ってきた。」
(『心霊と進化と』A.R.ウォーレス著・近藤千雄訳・潮文社刊・P.166)

 ここでは、先程とは全く逆の事実が書かれているわけです。しかも、音が鳴ったとか鳴らないというレベルの話だけでなく、知的な内容の質問にも正確に答えたとのこと。当時二人は12歳と9歳で、知的な内容の質問に答えるのは困難なはずでした。(年齢に関しては異説もありますが)

 

 インチキと自白したという話に関しては、事実、インチキだったという告白の“興行”をしています。フォックス姉妹にとって霊媒としての生活は安楽なものではなかったようで、晩年はアルコール中毒になり、経済的にも困窮していたようです。その時、多額の報酬につられてウソの告白をしたのだと言われています。後年、その告白は撤回されています。

 

 これに限らずスピリチュアリズムの現象面には、肯定、否定、両方の立場からさまざまな報告が出るものです。その時、「自分は霊の存在を信じているから」とか「信じないから」という先入観でどちらかの報告を信じ込むのではなく、その信憑性がどの程度のものかを理性的・論理的に判断する必要があるでしょう。肯定するにしても否定するにしても、又聞きの証拠で軽率に結論に飛びつくべきではありません。

初出:Nifty-Serve FARION『心霊学研究所』 (4/30/99)


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