心霊学研究所
『ジャック・ウェバーの霊現象』
ハリー・エドワーズ著/近藤千雄訳
('01.04.07登録)
『すべてはバイブレーションの問題です。バイブレーションを通じてどれだけ伝わるかの問題です。あなたがたには霊媒の口をついて出たことしか分からない。出なかったものについては何もご存知ない。 譬えてみれば電話でしゃべる時と同じです。あなたはただ受話器に話しかけるだけでいい。そして相手の言ったことを受話器で聞くだけです。が、あなたの声が相手に届くには大変複雑なメカニズムが働いております。それを発明した人や電話局で働いている人々がいるわけですが、電話でしゃべっている時はそんな人のことは考えもしないし目にも見えません。交霊現象もいっしょです。あなたがたは霊媒を通じて聞き、私たちも霊媒を通じて話しかけるのですが、その途中のメカニズムは大変複雑なのです。 この交霊会のために大勢のスピリットが働いております。発達程度もいろいろです。一方には地上に近い、多分に物質性を具えたスピリットがいます。そういうスピリットでないと出来ない仕事があるのです。 他方、光り輝く天使の一団もおります。本来属している高い世界での生活を犠牲にして、地上のために働いております。少しでも多く霊的真理を地上にもたらそうと心を砕いているのですが、今までのところ、それはまだ闇夜に輝くほのかな明かり程度でしかありません。 しかし、それでもなおそうした神の使者が足繁くこの小さな一室に通うのは、ここがすばらしい場所だからです。すばらしいという意味は建物が大きいとか、高くそびえているとか、広いとかの意味ではありません。地上に真理という名の光をそそぐ通路としてここが一ばんすぐれているという意味です。こうしたサークルからこそ、地上世界は新しいエネルギーを摂取するのです。 それ以外の、もろもろのスピリットを含めて、今夜だけで五千人もの霊がここに集まっております。あなたがたのよく知っている人で交霊会というものに関心のある霊もおれば、こういう場所があることを今まで知らなくて、今日はじめて見学に来たという霊もおります。 また、霊媒を通じて仕事をするために、私たちがここでどのようにやっているかを勉強しに来ている一団もおります。世界各地から来ております。こちらの世界でも、地上に働きかける方法についての研究が盛んに行なわれているのです。霊的エネルギーをいかに活用するかが最大の研究課題です。それを無駄にしてはならないからです。そのために、こちらからいろんな形で人間に働きかけております。自分では意識してなくても、霊界からのインスピレーションを受けている人が大勢います。 偉大な科学者も発明家も教育者も、元をただせば霊界のスピリットの実験道具にすぎない場合があります。法則なり発明なり思想なりが地上に伝わればそれでよいのであって、どこそこの誰が、といったことは私どもにはまるで関心がないのです。 宇宙はすべて協調によって成り立っています。一人だけの仕事というのはありません。だからこそスピリットは“霊団”を組織するのです。目的に必要とするスピリットを集め、そのうちの一人が代弁者《マウスピース》となって地上に働きかけます。私も私の所属する霊団のマウスピースです(編者注----mouth-piece はパイプの吸い口、楽器の吹き口が本来の意味です)。霊団の一人として働く方が自分一人で仕事をするよりはるかにラクに、そして効果的にはかどります。仕事の成果はそうした霊団全部の力を結集した結果であるわけです。 成果がすばらしいということは霊団の調和がすばらしいということでもあります。それは、霊媒の出来がいいということが霊媒と支配霊との調和がいいということであるのと同じです。そうでないと必ずどこかにきしみが生じます。オーケストラと同じです。演奏する楽器は一人一人違っていても、ハーモニーさえとれれば一つの立派なシンフォニーとなります。が、そのうちの一人でも音程を間違えば全体が台無しになってしまいます。調和が大切なゆえんです。』
『あなたがたの住む物質界は活気がなくどんよりとしています。あまりにうっとうしく且つ重苦しいために、私たちがそれに合わせようと波長を下げていく途中で高級界との連絡が切れてしまうことがあります。 譬えてみれば、こうして地上に降りて来た私は、カゴに入れられた小鳥のようなものです。用事を済ませて地上から去って行く時の私は、鳥カゴから放たれた小鳥のように、果てしない宇宙の彼方へよろこび勇んで飛び去って行きます。死ぬということは鳥カゴという牢獄から解放されることなのです。 さて私があなたがたと縁のあるスピリットからのメッセージを頼まれる時は、それなりのバイブレーションに切り換えてメッセージを待ちます。その時の私は単なるマウスピースにすぎません。状態がいい時は連絡は容易にできます。が、この部屋の近辺で何かコトが起きると混乱が生じます。突如として連絡網が途切れてしまい、私は急いで別のメッセージに代えます。バイブレーションを切り換えなくてはなりません。 そうした個人的なメッセージの時はスピリットの言っていることが一語一語聞き取れます。それは、こうして私が霊媒を通じてしゃべっている時のバイブレーションと同じバイブレーションでスピリットがしゃべっていることを意味します。しかし高級界からのメッセージを伝えるとなると、私は別の意識にスイッチを切り換えなくてはなりません。シンボルとか映像、直感とかの形で印象を受け取り、それを言語で表現しなくてはなりません。それは霊媒がスピリットからの通信を受けるのと非常によく似ております。その時の私は、シルバーバーチとして親しんで下さっている意識よりもさらに高い次元の意識を表現しなければならないのです。 とは言え、私は所詮この霊媒(バーバネル)の頭にある用語数の制限を受けるだけでなく、この霊媒の霊的発達程度による制約も受けます。霊媒が霊的に成長してくれれば、その分だけ、それまで表現できなかった部分が表現できるようになるのです。 今ではこの霊媒の脳のどこにどの単語があるということまで分かっていますから、私の思うこと、というよりは、ここに来る前に用意した思想を全部表現することが出来ます。 この霊媒を通じて語り始めた初期の頃は、一つの単語を使おうとすると、それとつながったほかの要らない単語までいっしょに出て来て困りました。必要な単語だけを取り出すためには脳神経全体に目を配らなくてはなりませんでした。現在でも霊媒の影響を全く受けていないとは言えません。用語そのものは霊媒のものですから、その意味では少しは着色されていると言わざるを得ないでしょう。が、私の言わんとする思想が変えられるようなことは決してありません。 あなたがた西洋人の精神構造は、私たちインディアンとはだいぶ違います。うまく使いこなせるようになるまでに、かなりの年数がいります。まずその仕組みを勉強したあと、霊媒的素質をもった人々の睡眠中をねらって、その霊体を使って試してみます。そうした訓練の末にようやくこうしてしゃべれるようになるのです。 他人の身体を使ってみると、人間の身体がいかに複雑に出来ているかがよく分かります。一方でいつものように心臓を鼓動させ、血液を循環させ、肺を伸縮させ、脳の全神経を適度に刺激しながら、他方では潜在意識の流れを止めて、こちらの考えを送り込みます。容易なことではありません。 初めのうちはそうした操作を意識的にやらなくてはならないのです。それが上達の常道というものです。赤ん坊が歩けるようになるには一歩一歩に全意識を集中します。そのうち意識しなくても自然に足が出るようになります。私がこの霊媒をコントロールするようになるまで、やはり同じ経過を辿りました。一つ一つの操作を意識的にやりました。今では自動的に働きます。 人間の潜在意識はそれまでの生活によって働き方に一つの習性が出来ており、一定の方向に一定の考えを一定のパターンで送っています。その潜在意識を使ってこちらの思想なりアイディアなり単語なりを伝えるためには、その流れを一たん止めて、新しい流れを作らなくてはなりません。もし似たような考えが潜在意識にあれば、その流れに切りかえます。レコードのようなものです。その流れに乗せれば自動的にその考えが出て来ます。新しい考えを述べようと思えば新しいレコードに代えなくてはならないわけです。 この部屋に入ってくるのに、壁は別に障害になりません。私のバイブレーションにとって壁は物質ではないのです。むしろ霊媒のオーラの方が固い壁のように感じられます。私のバイブレーションに感応するからです。もっとも、私の方がバイブレーションを下げ、霊媒の方はバイブレーションを高めています。それがうまく行くようになるまで十五年もかかりました。 こうして霊媒のオーラの中に入っている時はまるで牢獄に入れられているみたいです。その間は霊媒の五感に支配されます。暗闇では物が見えません。もっとも足は使えません。私の仕事に必要でないものは練習しませんでした。脳と手の使い方だけを練習しました。こうしてしゃべっている時に他のスピリットからのメッセージを伝えることがありますが、その時は霊媒の耳ではなく私自身の霊耳で聞きます。すべてはオーラの問題です。私には私のオーラがあり、霊媒のオーラより鋭敏です。そのオーラに他のスピリットがメッセージを送り込みます。それは言ってみれば電話で相手に話しかけながら同じ部屋にいる人の声を聞くのと同じです。二つのバイブレーションを利用しているのです。同時には出来ませんが、切り換えることは出来るわけです。』 "Behind the Scenes at Seances" by Silver Birch |