心霊学研究所
『ジャック・ウェバーの霊現象』
ハリー・エドワーズ著/近藤千雄訳
('00.12.24登録)

第十九章 出席者による危険行為


 

 ウェバー氏は公開実験会および霊能開発のためのホームサークルを、合わせて、一年間にほぼ二百回も催している。霊能を磨くためのホームサークルヘの出席を拒んだことは一度もない。背後霊団が赤色光の中で霊の威力を示し、物質化像を出現させ、そのための技術をあれこれと試してみたのは実にそのホームサークルにおいてであった。

 こうした実験会にありがちな事故の危険性から霊媒を守るために、ありとあらゆる注意が払われた。しかし、二百回もの回数を重ねるうちには、やはり何度か事故が起きている。

 決して故意にではないのであるが、エクトプラズムのアームまたはロッドによって支えられている物品にうっかり人為的な力を加えてしまうことがままある。

 たとえば、これはホームサークルでの出来ごとであるが、四本のメガホンが浮揚現象を展開中に、そのうちの一本が一時的に一人の列席者の肩とか膝の上に来た時に、その人がうっかりそのメガホンを動かしたことがある。その時、霊媒は口と鼻から出血していた。

 また、これは故意にやったのであるが、誰かが照明のスイッチを入れたことがある。すると霊媒は太陽神経叢のあたりから出血した。その時は出血の程度が軽かったらしくて現象が続行されたが、こうした場合は即刻中止となるのが普通である。

 そうした身体への危害のために霊媒が長時間にわたって人事不省から回復しなかったこともある。ブラック・クラウドは

 「霊媒の幽体を戻すために私は当分この身体から離れていなければならない。こうした危害が幽体が戻り切れないほどになると、霊媒はそのまま死んでしまう」と説明した。

 こうした状態、とくに人事不省の状況の間は、治療霊団が治療に当たっている。ある実験会で霊媒がいつまでも意識を回復しないので列席者がいろいろ手当てをしたが効果がなかったことがある。するとブラック・クラウドの声がして“そのままにしておくように”と言って来た。

 最近あったことであるが、列席者の不手際から霊媒の人事不省が続いた時、ブラック・クラウドがもう一度霊媒の身体に入って意識を回復させたことがある。そんな時にはウェバー氏に何の後遺症も残らないのは注目すべきことである。

 デイリーミラー紙のカメラマンが出席していた実験会での出来ごとであるが、霊媒が椅子ごと浮揚しているところを撮影しようとしていたら、ブラック・クラウドが“写真!”と言わずに“ライト!”と言って来た。照明係がモタモタしていると再びブラック・クラウドが“ライトをつけて!”と強い命令調で言った。慌ててライトをつけると霊媒がかなり高い位置に浮揚していて、みんなどうなるかとヒヤヒヤしながら見守った。すると更に驚いたことに、霊媒がくるりと逆さまになりながらゆっくりと降りて来て、その姿勢のまま、つまり足を上にしたまま頭から床の上にゴツンと降りた。

 すぐさま列席者が駆け寄って身体と椅子を正常に戻したが、それから二十分間ほど無意識状態が続いたあと、ようやく意識を回復した。何の異常も後遺症も見られなかった。一ばん不思議だったのは、頭部の床に当たった個所にキズはおろか赤いアザも見られなかったことである。(メガホン現象でも似たような無キズの現象が起きている。----第八章)

 ウェバー氏には、まだ炭坑夫だった頃の興味ぶかい体験談がある。本立て坑《メインシャフト》から二マイルほど離れた採掘坑で一人で修理作業をしていた時ランプが消えてしまった。曲がりくねった何本もの坑道が入りくんでいる真っ暗闇の地下から一人で這い出て来ることはまず不可能に近いのであるが、ウェバー氏の話によると、顔の前に小さな青い炎が見え、そのあとについて行ったら本立て坑に出たという。仲間にその話をしても誰も信じなかったそうであるが、それが起きたのはウェバー氏がまだ自分に霊能があることを知る前であった。

 こうした物理的心霊現象の実験会に出席する人に用心の上にも用心していただきたいのは、許されたこと以外の勝手な行為、意図的に現象を邪魔するような行為、物体が浮揚しているとき、あるいはそれがどこかに降りた時にいきなり触わる行為は絶対に慎んでいただきたいということである。霊媒の生命にも係わることにもなりかねないからである。

 写真を見ればそれにどんな性質のエネルギーが作用しているかは判るが、どれほどのパワー(力)が加わっているかまでは判らない。実際には物凄いパワーが加えられているかも知れない。そんな時に不意に外的な刺戟をうけると、そのパワーをもったエクトプラズムが一気に霊媒の体内に戻ろうとする。するとその爆発的なパワーのために霊媒が一ぺんに殺されてしまうことだって有りうる。少なくとも健康を損ねたり、目を傷めたり、あるいは霊媒能力そのものを台無しにしてしまう。会全体を支配している霊の許可と協力なしに勝手な実験をすることは絶対に慎むべきである。

 筆者自身の個人的体験であるが、ある夜、持ちにくい荷物をかかえて家路を急いでいた時のことであるが、曲がり角を折れてすぐ道路を斜めに横切ろうとして道路の途中まで来たとき、急に衝動を覚えて歩を速めて歩道に辿りついた。その直後に石炭を積んだトラックが猛スピードで同じ角を曲がって来た。もしも途中で歩を速めなかったら、おそらく道路の途中で足がすくんで万事休していたであろう。

 筆者以外にもウェバー氏と関わりのある人が窮地を救われたという話がいくつかある。


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