心霊学研究所
『ジャック・ウェバーの霊現象』
ハリー・エドワーズ著/近藤千雄訳
('00.10.01登録)
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本章では現象の演出のために拵えられるエクトプラズム製の道具を検討する。次章で扱ういわゆるボイスボックスもその一つと考えられるので、本章と次章を内容的に一つと考えていただきたい。 最初に明確にしておきたいのは用語である。一般に棒状のエクトプラズムをロッドと呼んでいるが、撮影に成功した写真と、実験会で実地に観察したものを検討すると、文字どおりロッド(棒)と呼んでよいものと、アーム(腕)と呼んだ方がよいものとの二種類あることがわかる。 掲載した写真に見られるのはアームの方である。 但しアームかロッドかは必ずしも明確には区別できない。というのはアームの働きをしていたものが必要に応じてロッドに早変わりするからである。 アームの機能はボイスボックスがメガホンの中とか霊媒の身体に付着して製造される際に、いわゆる“パワーケーブル”(送電用ケーブル)と同じ役目をすることである。身体に付着したボイスボックスの場合は音声がそこからアームを通ってメガホンヘ送られ、そこで拡声される。前に紹介したアポーツの場合も、物品が分割されて非物質の状態でこのアームを通ってメガホンヘ送られ、そこで再物質化される。 これまで何回かこのアーム状のエクトプラズムに列席者が触れてみたが、柔らかくて、しなやかで、少しぬくもりがあり、生地は荒い。物体を握ることが出来る(No.14参照)。もっともメガホンのような比較的軽い物体を持ち上げる時の握りは弱い。No.15ではフラッシュの一、二秒前まではメガホンを持ち上げていたのが、フラッシュを閃《た》くと同時に列席者の向こう側の床の上に落ちている。それだけ握りが弱いことを示している。筆者は何度か、筆者の膝の少し上に来たメガホンが写真撮影で落ちないように膝をゆっくりと上げて支えてやったことがある。 本書に掲載したエクトプラズムの写真は、R・シュナイダー氏の実験会で見られる“吸引型”の触角の付いた“チューブ型”または“リボン型”のエクトプラズムの確証にもなっている。 物体の浮揚現象の写真に支えのエクトプラズムが写っていないのは、フラッシュの直前に引っ込めている可能性も見落としてはならない。 アームの先端が輝いて見えたことが何度かあった。青い光の輪となって非常に強烈な輝きを見せる。それが光の“輪”となって中心部が暗いという点を特に強調しておきたい(次章参照)。 この現象が起きた時はそれがいつも二つ現われ、こちらが命ずるままに動いてくれる。最初霊媒の太陽神経叢のあたりに(二つ)現われ、それが霊媒の両側へ分かれ、こんどは前方へ動き、さらには霊媒の頭上へと移動する。「上へ」と言うと霊媒の頭上へ上昇し、「前へ」と言うと前方へ移動する、といった調子で言われるままに動いてみせる。 ある時はその一つが円を描きながら降りて来て、霊媒のすぐ前にあったメガホンの口のところまで来た。するとメガホンが上昇して列席者のまわりを自在に動いてまわった。その間、青い光の輪もずっとその口のところについてまわった。そして最後にメガホンが床の上に戻ると、その光の輪だけが弧を描いて霊媒の太陽神経叢のところへ戻っていった。 このアームとは対照的な機能を果たしているのがロッドである。これは力強い動きのある時や重い物体を浮揚させる時に使用されている。そして、このロッドだけは一度も写真撮影に成功していない。 その原因をブラック・クラウドはこう説明する。端的に言えばロッドはバイブレーションの高さが目に映じないほどになることが多いので写真にも写らないということであるが、仮にバイブレーションを下げて目に映じる段階まで物質化すれば、複数の光の心棒《シャフト》(軸)となって見えるであろう。さらにバイブレーションを下げると前述のアームのように映るであろう。赤外線を照射すれば、それに伴う鈍い赤い光といっしょに、ロッドを一瞬のうちに“溶解”してしまう、と言う。 撮影にこそ成功していないが、列席者の“目”には見えたことがあることを付記しておかねばならない。 会場を変えながら開かれる実験の中には、窓のカーテンが必ずしも完全に不透明でなくて、部屋を暗くすると外の明かりがうっすらと入ることがある。現象にとっては障害にならない程度なのであるが、暗闇に慣れた目には、その明かりの前を物体が通過すると黒い影になって見える。ロッドが見えたのもそんな条件下においてだった。力強く真っすぐに伸びた太い棒状のものが(テーブル等の)物体を支えているのが見られたのである。太さは円周が三インチほどのものから六インチほどのものまでいろいろだった。 その薄明かりの漏れる窓は明かり取り用の窓であることが多く、高い位置にある。その高さを物体が横切るのであるから、そこまで届く道具を霊媒が隠し持つなどということは絶対に不可能である。 またある時は床の上に螢光塗料を塗ったものが置いてあって、その螢光の反射でロッドが見えたこともある。 筆者がある実験会で見たのは、螢光塗料でほんのりと明るんでいる場所を背景にして、霊媒の位置の反対側の天井から真っすぐに床に向かって伸びているロッドだった。この時は棒《ロッド》というよりは、幅四インチほどの厚板に見えた(厚さは見当がつかなかった)。しかし、形は直線的で、まるで寸法を計ったようにきちんとしており、縁は定規のように整っていた。 また、弱い赤色光の中で列席者全員が見た現象であるが、霊媒の太陽神経叢のあたりから、根元が直径八〜一〇インチほどの太さの木のようなものが姿を現わし、伸びるにつれて細くなり、伸びきった先端でメガホンとつながった。そのほか数多い実験でいろんな体験をして新たな知識を得ている。たとえば部屋を動きまわっていたメガホンが霊媒から三、四番目のあたりの列席者の膝の上に一時的に静止して再び動き出した時のことであるが、手をつなぎ合っている列席者のその手の上や膝のあたりに棒状のものが触れるのを感じたという。“重くのしかかるような感じ”という列席者たちの証言から判断すると、そのロッドは非常に固くて強烈な力がこもっているようである。 ロッドは強烈な力が出せる。列席者がメガホンを押しつけられて、けんめいに押し返したが、椅子の奥まで押しやられたことが何度もある。 マホガニ材で出来た二人がかりでやっと持ち上がるほどのテーブルが、部屋の隅から列席者のど真ん中へかるく持ち込まれたことがある。 また、バラム心霊研究会で開かれた霊界の子供のためのクリスマスツリーパーティ(六十人が出席)をかねた実験での出来ごとであるが、ツリーを厚さ四インチの板でこしらえた木わくに入れ、その木わくを八インチのクギで床に固定し、ツリーのまわりを太さ四インチの角材四本で固定し、その角材を同じく八インチのクギで木わくに打ちつけ、すき間に木材を入れるなどして徹底的に固定しておいた。 さて実験も終わりに近づき、用意したオモチャも全部使用され、楽器も演奏され、ツリーに取り付けてあったオモチャ(一〇〇個以上あった)が全部もぎ取られたあとのことであるが、そのツリーまでが木わくからもぎ取られた。木わくを固定していた床板までが反り上がったほどの勢いだった。 もぎ取られたツリーは天窓のところまで浮上し、光線をさえぎるために張ってあった茶色の紙の一部をはぎ取り、暗い満員のホールをゆっくりと降りて来て、二人の列席者の中間に置かれた。ツリーの高さは十フィートもあった。 物体をつかむ、あるいは握るのは自由自在で、一つのものを持ち上げて下ろし、すぐに次のもの取って猛烈な勢いで持ち上げる。 霊媒を椅子ごと相当な高さと距離まで持ち上げ移動させる現象も霊的エネルギーの物凄さをよく物語っている。 ロッドは物質の浮揚現象では重要な道具ではあるが、実験会での物品の動きがすべてロッドによるわけではない。そのことについては第十七章で言及する。 |