心霊学研究所
『ジャック・ウェバーの霊現象』
ハリー・エドワーズ著/近藤千雄訳
('00.09.06登録)

第十一章 霊媒の浮揚現象


 

 霊的エネルギーの威力を見せつけるもう一つの現象に霊媒の浮揚現象がある。椅子に縛りつけられたまま、実験会場(部屋またはホール)の端から端へと持ち運ばれるのである。

 その現象を撮影しようと何度か試みたが、ついに証拠性のあるものは得られていない。霊媒は椅子ごと持ち上げられ、中空に何分間か留まり、さらに、元の位置から一ばん遠い場所に降ろされる。

 時には、持ち運ばれる際に霊媒の足が円座の列席者の頭に触れてまわることがある。壁にほんのりと明るい部分があったり、カーテンを通して薄明かりが差している時などは、椅子に腰かけたままの霊媒の(浮揚している)姿が見えた。

 天井の高いホールで行なわれた時には、その天井近くからする声だけでなく、照明用の器具が揺れるその動きによって、霊媒がそこまで浮揚していることが判った。この高さは普通ならハシゴを使わないと届かないところである。

 さらに、テーブルの浮揚現象があったあと霊媒が浮揚して、そのテーブルと列席者との間のほんのわずかな隙間に降ろされたこともある。

 この霊媒の浮揚はたいてい実験会の終わりごろに起きた。すでにその頃には霊媒のすぐ前の床の上には螢光塗料をぬったメガホンその他の小道具がところ狭しと散らかっている。この事実からも、霊媒は椅子ごとのたくって進んだのではないことが判る。

 次に紹介するのは一九三九年二月二十四日付の心霊紙ツーワールズに掲載されたJ・W・バイアリ氏の報告からの抜粋である。

 

 「二十四人の列席者が壁を背にして着席している。白色光の明かりがついている。霊媒のウェバーは椅子にしっかりと縛られている。三フィート六インチのテーブルが中央にはすに置かれている。列席者との間隔はやっと通れるほどしか空《あ》いていない。

 その足もとあたりに螢光塗料をぬったメガホンが置いてあり、やや私の方へ傾いている。

 

 明かりが消された----私はそのメガホンに注目した。もしも霊媒が私の目の高さと床との間を通過すれば、メガホンから発する螢光がさえぎられるはずである。が、霊媒が通過した様子はないし、動く音もしなかった。(私の位置は霊媒から二人目であった)

 天井の方から支配霊の声がする。と同時に私の左の方で何かが床にどさっと落ちる音がする。明かりがつけられた----そこには相変わらず椅子に縛られたままの霊媒がいた。

 霊媒が椅子に縛られたままのたくって移動することは絶対に不可能である。その時の状況下でそうしようとすれば、まず二フィート前進し、右に折れて三ないし四フィート進み、そこでテーブルと列席者との間を通り抜けなければならない。通り抜けようとすれば絶対テーブルか列席者に椅子が当たるはずである。

 しかしその間、椅子の音は一切しなかった。もしそうやって進んだとした場合の距離は全部で十五フィートほどになるが、これを音も立てずに、しかもわずか二、三秒でやることは絶対に不可能であった。」

 

 ウェバー氏がふだん使用している整髪料が天井に付着した跡がしばしば見られた。

 No.25には思いがけない現象が写っている。浮揚現象を撮影しようとしていたところ、その“持ち上げる力”が逆の方向に利用されて、椅子が床に降りると同時にバリバリという、何かを破壊するような大きな音がした。ライトをつけてみると、霊媒は無残に砕けた椅子に縛りつけられていた。

 霊媒が腰かけていたウィンザー型の椅子は実にどっしりとした造りだった。座の部分の厚さが1.3インチもあったが、それが真ん中で真二つに割れ、四本の脚が支柱もろとも四方に引き裂かれ、肘かけが背もたれからもぎ取られていた。

 写真は砕かれかけた一瞬をよくとらえている。霊媒の身体にいささかの緊張感も見られないところに注目していただきたい。

 一個の椅子を一瞬のうちにこれほど徹底的に破壊するのに一体どれほどのエネルギーが要るかということも一考の価値がある。力持ちが椅子を持ち上げて思い切り床に叩きつけて、はたして右に述べたような状態に破壊できるであろうか----これは大いに疑問である。

 忘れてならないのは、写真をご覧になれば判る通り、その時霊媒はロープでその椅子に縛りつけられていたということである。

 もちろん共謀も有り得ない。この写真もスピリットがいかに強烈な霊力《エネルギー》を出せるかをよく示している。

 

補遺  一九四〇年三月

 

 二月二十六日に国際心霊研究協会において開かれた実験でも、霊媒の椅子ごとの浮揚現象が見られた。

 それが降下する際、霊媒が縛りつけられている椅子の後脚の一本が、それより先に霊媒から一ばん遠い列席者の上に浮揚していたテーブルの十文字の支柱の間に差し込まれた。真っ暗闇の中で、しかも音一つ出なかった。これまた、人間わざでは出来るものではなく、やはり霊媒は椅子ごと宙に浮いていたことを明確に物語っている。


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