心霊学研究所
『ジャック・ウェバーの霊現象』
ハリー・エドワーズ著/近藤千雄訳
('00.08.22登録)
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アポーツの過程が写真に収められたのは一回きりである。 ウェバー氏の霊媒現象の中ではアポーツそのものが非常に少ない。次に紹介するのはその写真撮影に成功した実験会の記述である。 この実験会は一九三八年十一月八日に公開で行なわれたもので、パディントン市にあるテンプル・オブ・トゥルース教団の会員八名も出席していた。その会長のジェームズ・シング氏の署名入りの証言を次に引用する。
“一九三八年十一月八日のジャック・ウェバー氏による実験会における現象の報告”
子供の背後霊パディとハリー・エドワーズ氏とのやりとり。 パディ「壁やドアを貫通して物品を引き寄せることができることをお見せするために、この部屋に何か引き寄せてみたいと思います」 エドワーズ氏「ぜひ見せていただきたいですね」 パ「何かいいものがないか見てきます」 (二、三分後) パ「隣の部屋に長い足をした小鳥がありますね」 エ「ああ、あります。あれはツルという鳥で、真ちゅうで出来てるんです」 パ「あれを引き寄せてみます。霊媒のからだを通過させないといけないんです」 (二、三分後。カメラの用意も出来ている) ブラック・クラウド「シャッターを切って!」 (シャッターを切るのとほぼ時を同じくして床に物が落ちる音がする) ブ「明かりをつけて!」 (明かりをつけて見ると例の真ちゅうの鳥が隣の部屋から運び込まれて床の上にある) ブ「写真がうまく撮れておれば、その鳥がエクトプラズムの状態で霊媒のからだから出てくるところが写っているはずです」 すべての窓、すべてのドアがロックされ、一度も開けられなかった。 以上の現象の記述に相違ないことを証言する。 (署名)ジェームズ・シング
その時の写真は三枚焼き付けてある(No.10・No.11・No.36)。No.10が撮影したままの写真で、太陽神経叢のあたりに例の鳥とエクトプラズムが見える。No.11はその部分の拡大写真。No.36は引き寄せられた鳥の実物写真。 シング氏の報告を見てわかる通り、このアポーツ現象は前もって予告した上で行なわれたことに注目すべきである。 まずパディがこれからこうしようと思うと述べて確かにその通りになり、次に支配霊のブラック・クラウドが写真にはこう写っているはずだと述べて確かにその通りに写っていた。このあたりに人知を超えた法則を見えざる知的存在が運用していることを示す見事な証拠を見ることが出来る。 その真ちゅうの置き物は高さ五センチ、重さ六〇グラム足らずのものであるが、それが現実に壁とドア、もしくはそのいずれか一方を貫通して部屋から部屋へと持ち込まれたわけである。そのためには、音声がレンガ塀を通過するように、真ちゅうが固体を貫通するほどの高い波動状態に一たん分解されたに違いない。その状態で霊媒のからだを通過し、からだから出ると同時に再び物質化されたのである。その、いよいよからだから出る瞬間のエクトプラズムの状態というのが、他の物質化現象の場合と同じく、この再物質化の際の最も重要な要素であることに疑問の余地はない。 物品が霊媒の身体を経て引き寄せられることを証明したこの現象は、メガホンを使用して引き寄せる他の霊媒の場合と過程は同じである。というのは、No.12に見られるように、メガホンはエクトプラズムによって霊媒の身体と直結しているからである。 この場合、物品が分解された状態で霊媒の身体からさらにエクトプラズムの腕(棒)を通過してメガホンの中に入り、そこで再び物質化されるわけである。つまりメガホンがエクトプラズムのもつエネルギーの保存容器の役目と再物質化の場を提供しているわけである。 もっとも、アポーツ現象が霊媒の身体を使うというのは必ずしも全ての霊媒には当てはまらない。私自身、一九四〇年に別の霊媒の実験会に出席して、まったく違った過程によるアポーツを見ている。 その時はメガホンが、内部に何も入っていないことを列席者に確認させてから天井まで浮揚し、そこで物品(ガラスの花びん)を受け取った。支配霊の説明によると、花びんを一たん高振動の状態に変え、それをエーテル質の包みの中に入れてメガホンの中まで運び、そこで再物質化したということだった。 同じ実験で出たもう一つのアポーツは見事な彫刻の施されたシールで、それが猛スピードで部屋中を円を描いて動きまわるメガホンの中で再物質化された。最初のうちはコトコトという小さな音がしていたのが、物質化が進行するにつれて次第に大きくなっていった。 話はウェバー氏の実験会に戻る。その後の実験会では二個の物品が赤色ライトの中で引き寄せられた。ウェバー氏はアポーツが出る時はその数時間前から腹部が張ってくるのが常で、それで何が起きるかが判ることがある。 その日もそうした兆候が出ていたので、実験室に入ってから、椅子にロープで縛りつけられる前に、十一人の列席者全員が見ている前で、レギュラーメンバーの一人(S・クロフト氏)と首都警察(ロンドン警視庁)の代表一人に身体検査をするように依頼した。検査が終わるとすぐその場で椅子に腰かけロープで縛られた。縛る時の様子は赤色ライトがついていたので全員によく見えた。 やがてメガホン(複数)が浮揚して回り始め----これも赤色ライトではっきり見えた----そのうちの一本が霊媒のところへ来て、大きい口の方を太陽神経叢のあたりに向けると、何かがその中に落ちるような音がした。そしてこんどは私のところへ来て、中のものを取り出すように言う。手に取ってみるとエジプトの飾り物だった(No.36右端)。 一、二分後に再びそのメガホンが霊媒の太陽神経叢のところへ行くと、また何かが落ちる音がした。そしてこんどは別の列席者(S・クロフト氏)のところへ行って、中のものを取り出せと言う。取り出してみると石仏だった(No.36中央)。 これらを見ればわかるように、その大きさからして身体検査でベテランの目をごまかせるものではない。しかも十一人の列席者が見ている前で椅子に縛られ、さらに直前まで猛スピードで回転していたメガホンがスーツと霊媒のところへ来てそこで物品を受け取るのも全員が見、そして耳で聞いているのである。 右の二つのアポーツが出る時にエクトプラズムは見えなかった。これは当然であろう。というのは、実験はすべて赤色ライトのもとで行なわれていて、エクトプラズムが最も強力(つまり高波長)になった時は人間の目には見えないのである。 No.36にはもう一つのアポーツ(右上)が見えるが、これは右の実験会より一週間前に行なわれた実験会で出たもので、この時は暗闇の中で行なわれ、女性の列席者(G・レイトン夫人)のドレスに直接ピン留めされ、その方にプレゼントされた。 どこの会場で行なっても、時おりこうしたアポーツが出た。ある時は米国のある州の一九一五年の記念コインが出た。受け取った人(ゴードン・グレアム氏)は確かにその年にその州にいたと述べていた。同じ実験会で一人の夫人が十字架像を受け取ったが、それは別の実験会で予告されていたものだった。 この実験会には興味ぶかいいきさつがある。実はウェバー氏と私はルートン市(ベッドフォードシャー)での別の霊媒による実験会に招待されていた。ところがその二、三時間前になってその霊媒から病気で実験に出られないとの電報が主催者のゴードン・グレアム氏のもとに届いた。グレアム氏は急きよウェバー氏に電話を入れて、代わりに霊媒になってくれるよう依頼し、それをウェバー氏が引き受けたのだった。 このように、わずか二、三時間前に急きょ霊媒の役を引き受けたのであるから、ウェバー氏には前もっての策謀などする余裕はなかったし、また例の十字架像を受け取った人はベッドフォードシャーの人で、グレアム氏ともウェバー氏とも一面識もなかった。 |