心霊学研究所
『ジャック・ウェバーの霊現象』
ハリー・エドワーズ著/近藤千雄訳
('00.07.23登録)
|
本書は心霊的超常現象の写真とその解説から構成されている。 写真は一九三八年十一月から翌年十二月までの十四か月間に、物理霊媒ジャック・ウェバー氏の心霊実験会で起きた現象を撮影したものである。決して遠い昔の出来事ではない。今われわれが生きている時代に起きたものであり、同種のものはどこかで現在なお一年中ひんぱんに起きている。 実験には特別仕立てのステージはいらない。ウェバー氏は回数にして一年に百五十回から二百回の実験を行なったが、その大半は氏が一度も訪れたことのない場所で行なわれている。氏はたいてい付き添いなしで行動していたので、前もっての工作や共同謀議《きょうどうぼうぎ》の嫌疑はまず問題外である。 一九三九年の一年間には延べにして四千人以上の人が、数人による小さな家庭交霊会《ホームサークル》、ないしは五百人もの大集会において、氏の現象を見たことになる。 本書に収められた写真は同じ実験会のものばかりではない。各地の会場で撮ったものを集めたもので、中にはウェバー氏が一度も訪れたことのない場所でのものも入っている。氏は会の始まるわずか二、三分前に会場に到着したことも一再ではない。撮影者は英国内の新聞社から招待した公式の報道写真家ばかりで、各自が愛用のカメラとプレート(感光板)を持参し、現像・焼付の全過程を自社のスタジオで行なった。他にも、たまたま良いカメラを持っているということで撮影した人もいた。 右の十四か月間には各界から大勢の人に証人として特別に立ち会っていただいた。BBC放送の代表、大手新聞社の代表、英国の心霊紙「サイキック・ニューズ」「ツーワールズ」「ライト」及び米国の「心霊研究ジャーナル」の各編集者、海軍元帥、牧師、医師、科学者、大学役員、等々である。特にロンドン及び地方の心霊研究機関の代表員が念入りに霊媒の身体検査を行なった。 疑り深い人は当然、写真と解説の真実性を問題にするであろう。が、仮に本物でないとすると、右に紹介したような各界の著名な代表を含む何千人もの人々を手玉にとった陰謀が、これといった動機も報酬もなしに、単に“人を騙す”ということのために大々的に行われたことになる。 もともと新聞社及びそのスタッフは詐欺行為などはソレ見ろとばかりに大よろこびで暴こうとするものである。なのに、出席した全員が----一人の例外もなしに----その真実性を証言している。いかに酷評をもって鳴らす批評家でも、ジャック・ウェバーの心霊現象を証言した用心深い詮索好きの名士たちをバカ者呼ばわりや間抜け呼ばわりは出来まい。 仮に写真がみな偽造されたとすると、これほど完璧な偽造写真を製造するには、一流の写真工場を一つでなく幾つも抱き込み、さらに新聞社の専門スタッフも抱き込まねばなるまい。が、実際問題として、フィルムを偽造しても意味がない。なぜなら、カメラのフラッシュが閃《ひらめ》いた時は列席者も同じ現象を目撃していたからである。 意地の悪い人間が問題にするのは報道における作為であろう。が、実験に関する報道記事はたった一つや二つではなく、何十もの記事が心霊紙をはじめ一般の大手の日刊新聞でベテラン記者によって発表され、それがことごとく現象を高く評価しているという事実を忘れてはならない。そのうちの幾つかを本書にも記者名と発行日とともに転載しておいた。 交霊会の様子については三人の記者による記事を紹介してある。二人は大手の日刊新聞の記者で、もう一人は心霊学に造詣深いベテランの批評家である。これによって交霊会がどんなものかがよくわかっていただけると思う。 さて、本書の目的は、霊媒を通じて顕現されている霊の威力に関する既に証明ずみの知識に、少しばかりではあるが、新たな知識を付加することにある。 現象は霊媒がわれわれの要請に従って椅子に坐わり、深い入神状態《トランス》に入って通常の意識が休止した時点から発生しはじめる。その状態において霊力の顕現しやすい肉体的ならびに精神的条件が整う。その時、現象の受け入れ態勢が出来あがるわけである。 一つ一つの物質の働き、一つ一つの振動作用に放射作用、さらには生命そのものまでが、法則によって規制された一定のエネルギーによって左右されている。 たとえば、ある物体が空中に浮き上がってまた元の位置に戻るという単純な現象でさえ、物質を超えたある種のエネルギーが作用している。それと同じ現象が心霊的エネルギーによって演出されるということは、この心霊的エネルギーを物体に作用させる知識をもった知的存在の働きを示唆している。さらに写真に示されたような複雑に入り組んだ現象を演出するためには、物的ならびに心霊的エネルギーならびにそれをコントロールする法則に関係する豊富な知識を持ち合わせていなければならない。 家庭交霊会においても、あるいは大会場におけるデモンストレーションにおいても、第三者が霊媒にリモートコントロール式に働きかけて現象を演出させることは不可能であることから考えて、実際に現象を演出しているのは目に見えない存在であることが想像される。 それを霊媒の潜在意識の働きのせいにすることは出来ない。なぜなら人間の潜在意識にそのような作用があることを証明する事実は何一つないからである。 従って本書で紹介する現象が完全に人間の理解を超えたものであるとなると、その演出に携わっている知的存在は“肉体のない人間”であり、従って人間は肉体の死後も生き続けていることになる----そう結論する以外に解釈の方法がないのである。 そう解釈すれば、その演出に当たっている知的存在----支配霊《コントロール》----が、かつて自分たちも地上で生活したことがあると述べれば、それをそのまま信じてよいはずである。それを裏づける絶対的証拠がある。たとえば、その霊が肉眼に映じる物質をまとって身内の者の前に姿を見せ、互いに確認しあえる地上時代の話を自分の声でしゃべっていることである。こうなると肉親も友人も、そうやって通信できる能力をもったまま、相変わらず“生き続けている”に違いないことは、もはや議論の余地がない。本書がその証明となれば所期の目的を達成したことになる。 “死後の存続”の事実を疑問の余地のないまでに証明するということは、人類にとって計り知れない価値を有する。この地上生活はさらにもう一段上の明るい生活への準備段階《プレリュード》であり、そこには本質的に今と変わらない個人としての生活があり、従ってこの世での行ないがその位置づけをすることになると認識すれば、おのずとこれまでの生活規範に改革を迫られることになる。 この打算的で詮索好きな人間の多い時代にあってアカ抜けのした人生哲学を築くには、よほど確固とした証明可能な土台が必要である。この(第二次)世界大戦の最中においては、これまでになく、そうした人生哲学が要求されるし、多分、大戦後の再建の時代にはもっと必要となろう。世界のすべての民族が単なる伝統的教義よりもっと強力な基盤に立った新しい道徳律《モラル》を求めるようになるであろう。 今日の文明機構は一宗一派による宗教的打算の上に成り立っており、不正が横行し、それが戦争を生み、革命を起こし、人間的な不幸へとつながっていく。過去における平和への努力は詰まるところ宗教的打算の上で行なわれてきたのであり、当然の結果として、それは失敗に終わっている。 本当の平和、本当の四海同胞は、人生の意義と目的を説く確固たる知識に基盤を置いた強力な霊的勢力をバックにしたものでなくてはならない。それによって偏見が影をひそめ、死後存続の意義の重大性に一般の人々が目覚めれば、人類の文明はますます霊的価値を伴ったものとなり、社会的規範も、経済的観念も、国家的慣習も、そして国際的通念も大々的に再構築を迫られ、人間的努力は詮ずるところ人類全体としての平和的で協調的な霊的進化のために為されるべきであるとの理解に立って生活を発展させていくことになるに違いない。言い換えれば、究極の目的は世界を霊的に浄化することでなければならないのである。
最後に、度重なる実験に快く応じて下さったウェバー氏とその背後霊《スピリット》、並びに実験に協力を惜しまなかった大勢の方々の忍耐と理解に対して深甚なる感謝の意を表したい。時としてわれわれ主催者の不手際から何週間もの苦労が水の泡となってしまったこともあったのだが、何一つグチを聞かされたことがなかった。こうした霊界のスピリットとの密接な協力関係で仕事を続けてみて初めて私は霊力の無限さを如実に痛感させられ、今ではいかなる親友にも劣らない親密さを覚えている。その素晴らしきスピリットの友人に対し私は感謝の言葉を知らないのである。 写真の撮影に赤外線を使用して下さったのはレオン・アイザック氏で、氏が完成させた実用的な赤外線証明装置のおかげである。 サイキック・ニューズ社の主筆モーリス・バーバネル氏には終始協力していただいた。また心霊紙「サイキック・ニューズ」と「ツーワールズ」、全国版の日刊新聞「デイリーミラー」、日曜新聞「サンデーピクトリアル」から多くの記事を抜粋させていただいた。ここに記して謝意を表す次第である。 ハリー・エドワーズ |