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自閉症スペクトル関連
日記抜粋
(2002年)

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'02.07.31

今日は何ヶ月も前から決まっていた、子供の精神科の予約の日だったので、一緒に行って来ました。

正式な診断が出ていなかったので今までは書きませんでしたが、去る3月18日に児童相談所でも検査していて、言葉の発達に関しては1歳程度の遅れがあると言われていました。その日は本当に大忙しで、児童相談所から帰宅してすぐに母子通園施設の見学をして、そこで「この子では普通の幼稚園は難しいと思う」と言われ、すぐに幼稚園にキャンセルの連絡をして(入学金まで払ってたんですけどね)、さりとてその母子通園施設もうちの子にはもの足らない気がして、障害のある子に加配の先生を付けてもらえる保育園に入れるために市役所に行き、全て手続きを終えて……詳しくはそのうち当日の日記を挿入するかも知れませんが。

今日見てもらったのは、その言葉の遅れや、この子のいろいろな症状が何から来るものなのか? 自閉によるものなのか、知的障害なのか、LD(学習障害)なのか。ということを知って、親として、どのように対処して行けばよいのかを知るためでした。

(つづく)


'02.08.01(木)

(昨日の続き)

詳しく知りたい方は自閉症に関する本やウェブサイトを見ていただきたいのですが、そこに書いてあるようなことの多くをうちの子はやっていました。呼びかけても無反応、ぐるぐる回る、物を一直線に並べる、「ただいま」「おかえり」などの区別がつかない、要求を他人の手を引いて指差しさせる(クレーン)、パニックを起こし易い、など。しかし、抱っこは好きでしたし視線が合わないということもないので、自閉ではないんじゃないかと思っていたのですが……診断結果は、広汎性発達障害というものでした。

広汎性発達障害と言っても何だか分からないでしょうけど、つまり自閉症とかアスペルガー症候群などの自閉症の傾向をもつ発達障害の総称です。この言葉の使い方は専門家の間でも統一されているわけでは無いようですが、僕の理解では、自閉スペクトラムの重度のものを自閉症、軽い場合に広汎性発達障害と診断されることが多いようです。

自閉症に関しては、いま僕もいろいろと勉強しているところですので、これから折に触れて書いていこうと思います。かなり偏見や誤解されているところの多い病気ですので(自分で心を閉ざす病気だ、とか。そもそも自閉症という病名がおかしいので、関係性認知障害とでも言うべきなんだと思う)親の立場から啓蒙していく価値はあると思っています。

※注('04.12.27):自閉症は“病気”ではありません。先天性のものであり、一生続く“障害”です。病気ではない以上、自閉症が治療によって治ることはありません。先天的な障害で欠損した手足が生えてくることが無いのと同じです。自閉症児の療育とは、障害を治すためではなく、手足が無い人がそれを補う訓練をするようなものなのです。

'02.08.07(水)

仕事を終えて家に帰って「ただいま〜」……「おかえり〜」と娘。おっ、ようやっと「おかえり」を言えるようになったな! 嬉しい(*^_^*)。

もちろん普通の三歳児ならこの程度は言えて当然なんだろうけど、そこがうちの娘の障碍(広汎性発達障害)の特徴の一つで、自他の関係性を認識出来ないために、「おかえり」と「ただいま」、「行ってきます」と「行ってらっしゃい」などの区別が困難なんだそうです。「ただいま〜」と言うと、「ただいま〜」とオウム返ししてしまう。もう少し症状が重い子だと、手のひらを自分に向けて「バイバイ」をしてしまったりする子もいる。
(ただし、正常な発達をしている子でも、覚えはじめには同じ事をしてしまう事があるので、そうしたから自閉症というわけではありません)

言えるようになったといっても、まだまだ考え考えで、時々間違ってしまうようだけれども、毎日少しずつ教えている成果が着実に、いろいろなところで出ているようだ。良い傾向だと思う。


'02.08.26(月)

小桜姫物語を更新しました。

妻の従姉妹《いとこ》からメールがあったそうで……。最近、妻の東京のおばさん(叔母か伯母かは知らない)といとこの家族が、名古屋本部の心霊治療の何かにはまってるらしく、長女の広汎性発達障害のことが分かってから何度か連絡が来ております。我が豊川市の隣の豊橋市にも、そこの治療所があるそうで、ぜひ行ってみて欲しいとか言われておりました。治療の料金は「愛の団体だから」安くて1回3,000円だとか。ふ〜ん、行くつもりは無いけど確かに良心的な料金だよね、と最初は思ったんですが、いろいろと聞いてみると……(ええと、まぁその本人も見てるかも知れないし親戚付き合いもあるので以下略(^^;)

で、そこで習えば自分も治療出来るようになるんだそうで、そのために最初に70万円必要だったそうです(また聞きなので、これが1人分の料金なのか2人分なのかは分かりませんが)。う〜ん、愛の団体と言うより(以下4文字略)。そのセミナーは10回構成らしいのですが、毎回出るたびに会員以外の人間を1人連れて行かねばならないのだそうです。なるほど、そうやって次のカモ……じゃなくてお客さ……ええと、愛を分かち合う仲間を探しているわけですね(汗)。

そのセミナーが偶然にも僕の家の近くで昨日行なわれるということで、実は僕ら夫婦も誘われておりました。ちょっと話のタネに行ってみたいという気持ちはなきにしもあらずではありましたが、やはり断ってしまったのは惜しかったかも……。

そこで出たという体験談が、自閉症の子が今までパニックを起こしていた場所に行ってもパニックにならなくなったとか、脳性麻痺か何かの子が何歩か歩けるようになったとか……正直、それは通常の発達の範囲内でしょ?としか思えないようなお話。

そもそも誰にでも目に見えるほどの治病能力が身につけられるなどということは有り得ないわけで(誰でも絵は描けても画家にはなれないのと同じ)、それを誰でも出来ると思わせるためには、何でもないことを奇跡的治癒と思わせる「物語」が必要になってくるんだろう。それでプラシーボ効果を補完するんだろうな。と、思ったことでした。


'02.08.28(水)

帰宅すると子供が泣き叫んでいる。ナニゴトカといえば、便秘がひどいので浣腸をしたとのこと。まあ、これもいつものこと。あまりクスリは使いたくないが、放っておくと2週間も出ないことがあるので……。いつもは平気で入るトイレで「怖い、怖い」と言っているのは、やはりお腹が痛い感覚というのに慣れないせいか。自閉症児にとって、未知のものへの恐怖は人一倍大きいはずなので、本人にとっては、たぶん、切実な恐怖なんだろう。


'02.10.05(土)

上の娘の保育園の運動会! 下の娘も連れて家族4人で保育園へ。

しかし、心配していた事が現実に……。いつもと違う保育園の雰囲気に、娘はパニック。「こわい!」と言って泣き叫んでいます。担当の加配の保育者の方に抱っこしてもらっても、なかなか泣き止まない。どうも親が見ていると余計に甘えてしまってダメなようなので、しばらく隠れて見る事に(^^;。

開会式は抱っこされて参加。最初の演目のお遊戯(踊り)も、普段は喜んで踊ったり歌ったりしているのに、今日は泣けてしまって参加できないようです。かけっこも「もちろん」という感じで先生に抱っこされたままで走って(というか走ってないんだけど(^^;)、まあ一応参加しましたという事で……。その後の玉入れに至っても抱っこされたまま。でも、抱き抱えられて籠に手が届く所まで上げてもらって、手を伸ばして玉を入れさせてもらえる程度には回復。なんかカワイイ感じでした(ま、ズルと言えばズルなんだけどね)。

ようやく泣き止んだのが親子で参加する競技になってから。ガムテープをバトン代わりに、パズルの所まで親子で走って1ピースずつ貼り付ける競技です。パズルはうちの娘は得意(もっとも自閉症の子供は健常児より総じてパズルは得意なんですが)、とことこと走っていって、親の助けなんて要らないぐらいスムーズにペタリと貼って戻って行きます。ああよかった、ようやくうちの子も運動会に参加出来たよ……と、ホッと一息。その後の踊りも、閉会式も、上手に参加できました。良かった(^^)。閉会式が終わってお迎えに行ったときに、おりこうさんだったことを思いっきり誉めてやりました。

で、帰りしな、いろいろな聞き方で運動会がどうだったか聞いたんですが(というのは以前も書いた通り、単に「楽しかった?」と聞くとオウム返しで「たのしかった」と言うだけなので)あれだけ最初は泣いていたにもかかわらず、本人はとても楽しかったようです。だったら最初から泣くなよと思いつつ(^^;、そうかこれもまたこの子にとって楽しい思い出の一つになるんだなと思うと、またまた嬉し涙が出そうになった、親馬鹿な僕だったのでありました。


'02.10.13(日)

妻から話は聞いていましたが、実際に娘が自転車で走るのを見るのは初めて(但し補助輪付きだけど)。おお〜っ、ほんとにちゃんとペダルを踏んで走ってるよ〜、と、感動(当たり前っちゅやあ当たり前なんですけどね)。ちゃんとハンドルも操作してるし(^^)。これも運動会効果というやつか。

ちょっと走るたびに、とにかく誉めて誉めて誉めまくってやる。もっと自信をつけさせて、自転車に限らずいろんな新しい事に挑戦することを“楽しい”と思えるようにしてやりたい……(自閉症スペクトラムに多く見られる特徴の一つに、未知のものへの激しい恐怖があります。うちの娘にもその傾向が見られるので)

もっとも、まだ歩く方が速いぐらいのスピードしか出せないようではありますが(^^;。


'02.10.30(水)

……休みです(^^;。

会社は気になりますが、10月30日は休まねばならんと3カ月も前から決まっているので仕方がありません。というのは、長女の小児精神科の予約の日ですから。7月31日にここで広汎性発達障害の診断が出たわけですが、その後の経過を観察するために、3カ月に一回通う事になっているわけです。

ところで、子供の自閉症を診断できる医者というのは実はとても少なくて、日本中でも数人しかいないんだそうです(※注)。我が家にとって幸運だったのは、その数少ない先生がいる病院が家から20分のところにあったということ。診断の時間も今回はあっさり30分ほどでしたので、午前中だけで家に帰ることが出来ました。……これなら午前中だけで会社に行けたかもしれないなぁ。

※民間療法などで自閉症が治ったとか書いてあるのは、例外なく素人診断で自閉症じゃないものを自閉症と“診断”して、それを治ったと言っているだけのことです。児童教育の七田式などはその典型。

'02.11.24(日)

上の娘用に、随分前に買った「くもん式」のひらがな練習帳(2〜4歳用)を出してみる。少しだけやって忘れていたやつですが、たまにはこういうのをやらせるのも良いんじゃないか、と。最近上の娘はひらがなが大好きで、壁に貼ってあるひらがなのポスターを見ながらであれば、既にほとんどの文字を読むことが出来るようになっています(絵も付いていますから)。たぶん保育園の年少としてはかなり早い方だと思いますが、これは別にうちの娘が頭が良いということではなくて、自閉症スペクトラムの子供は文字や数字を早いうちに覚えることが多いのだそうです。それで「この子は(言葉が出るのは遅かったけど)頭が良い子だ」と誤解されて、障碍が発見されるのが遅れることも少なくないんだとか(そう思いたい気持ちはよく分かりますが、残念ながら自閉症のおよそ7割は知的障害者です)。

で、色鉛筆を持たせてやらせると、これが本人にはとても面白いようで、次々とやっていきます。まだ、文字の練習と言うより「お絵かき」か「ぬりえ」の感覚なんでしょうね。一緒にいる僕の方が飽きてしまって「残りはまた今度やろうね」と言うのに止めるのを許してくれなくて、とうとう50ページぐらいやってしまいました。
(その途中で数字もキチンと読めることを発見しました。恐らく99まで数えられるのは知っていましたが、練習帳のページ数を「さんじゅうろく、やる」とか言ったので、書いてある数字を読むこともできると分かったのでした)


'02.12.07(土)

火曜日にも書いた長女の保育園の生活発表会。二回目の今日、予定通り行ってきました。火曜日は比較的空いていたそうですが、さすがに土曜日の今日は会場は満員でした。うちの子はいつもと雰囲気が違うとパニックになりがちですので、あまり人が多いのは心配です。実際それで火曜日は泣いてしまったわけですから。

さて、いよいよ開演時間です。大丈夫かな〜と思っていると、幕が開いてすぐに僕の方を見つけ、ニッコリしました。……良かった、今日は落ち着いているようです(^^)。ちゃんと歌を唄ったり、劇も出来ています。ちょっと声が小さめだったり、動きが小さめな事もありましたが、最初から最後までしっかりと、僕の事前の予想より遥かに上手でした。

他の(障碍のない)子供たちでさえ1/3ぐらいは何もしないでボーッとしてたり、それ以外の子でも時々よそ見してしまったりしていましたから、全体を通してみると、上手く出来た上位3割ぐらいには入っていたんじゃないでしょうか。親の欲目を差し引いても、間違いなく半分以上のところにはいたハズ。

何だかね、ついこないだまで、あんなに何にも出来なかったあの子が……言葉の遅れを心配して、広汎性発達障害(自閉症スペクトル障害)の診断が出て……まぁいろいろとありましたけど、こんなに立派に成長してくれて……と、ちょっと胸が熱くなったことでした(^^)。まだまだ問題山積ですけど「大丈夫、きっと乗り越えていける」との思いを新たにしました。


'02.12.26(木)

NHK教育で月曜日から四日間、発達障害に関する番組をやっていたのを(ビデオに撮っておいて)見ました。文字になるような情報としては未知のものはほとんどありませんでしたが、やはり実際の発達障害の子供のようすを映像で見られるのは、本で読むのとは別の意味で参考になります。

なかでも高機能自閉症の子供のようすには興味津々で(うちの子は自閉症スペクトル障害、でも高機能かどうかはまだ分かりません)うちの子とはここが違う、ここが同じだとか思いながら見てました。特にパニックのようすは、うちの子とほとんど同じか、もしかしたらうちの子の方がひどいかも……本格的な自閉症の子供と同じだなんて、と思って、ちょっと憂鬱になったことでした(-_-;。


'02.12.28(土)

いつもの上の娘の言語の教室。僕は一緒に行けませんでしたが、今日はテストをやったようで、目覚ましく伸びているらしい。それから、障害者手帳の話など。今の状態だと知的障害者としては手帳が出ないかもしれないぐらい伸びてきたので(知的な遅れの無いアスペルガー症候群の可能性)、たぶん自閉症の方でもらえるんじゃないか、とのこと。言語の教室や精神科にかかる医療費などが結構かかるので、それが免除されるのは有り難い。詳しい話は来月、児童精神科を予約してあるのでその時相談。

 


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